木造住宅を耐震補強する際に気をつけるべき5つの注意点とは?

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さまざまなハウスメーカーがある中で、本当にあなたにあった家を建てることのできる所を見つけるのは非常に大変です。
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さらに、職人の高齢化が進む中で、本当に質の高い木造住宅を建てられる工務店と出会うことは今後ますます難しくなってくるかもしれません。

今も昔も、家は一生のうちでもっとも大きな買い物です。

失敗は許されません。

ぜひ、すばらしい木造住宅を建てるために必要な知識をまずは身に着けてください。

目次

1.木造住宅の施工経験豊富な職人がいる工務店に依頼する!
1.1 一生に一度あるかないか
1.2 工務店の魅力
1.3 住宅の種類
1.4 木造住宅のメリット
1.5 木造住宅のデメリット
1.6 工務店選び
2.湿度の多い日本。環境に適した施工が絶対に必要!
2.1 日本の気候
2.2 「断熱性」と「気密性」
2.3 湿度の多い場所
2.4 湿度対策
3.「一部だけ補強することの危険性」
3.1 鉛直荷重
3.2 水平荷重
3.3 荷重に対して丈夫な構造
3.4 耐力壁
3.5 耐力壁の量と配置
4.木造住宅に多い瓦屋根。建物の重さに配慮した構造計画が重要です。
4.1 地盤の強度
4.2 地耐力
4.3 木の強度
4.4 木材の種類
4.5 瓦屋根
5.工務店と仲良くなろう。プロの意見は尊重し、無理な間取り変更はしないように。
5.1 凹凸のない間取り
5.2 筋交いの入った壁が多い
5.3 壁のバランス
5.4 大空間は弱い
5.5 柱のバランス
5.6 間取りの優先順位
5.7 工務店と仲良くなろう
6.まとめ

1.木造住宅の施工経験豊富な職人がいる工務店に依頼する!

1.1 一生に一度あるかないか

家を建てるということは、一生に一度あるかないかの大きな買い物・大事業といえるでしょう。誰しもが『自分のイメージしている満足のできる家を建てたい!』と考えているはずです。しかし、実際に満足のできる家を建てることは難しいといわれています。さまざまな理由が存在しますが中でも『お金』に関することが多いです。

三宅様邸 模型家を建てるにあたり、必ずといっていいほど『予算』という問題にぶつかります。予算の範囲内でどれだけ満足のできる家を建てることができるのか?実現するための工程は多々あります。その1つに建築を依頼する施工業者があげられます。だからこそ、信頼・安心できる施工業者に依頼したいものです。

では、どのような基準で信頼・安心できる施工業者を選べばよいのでしょうか?

1.2 工務店の魅力

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全国の施工業者の大半を占めるのは、地元の小さな工務店です。大手ハウスメーカーと違い、施工担当者と直接話しをすることができます。頻繁に打ち合わせが出来るなど、個々に応じた対応や融通が利きやすいのも特徴といえます。

地域に密着しているため、その地域ならではの生活習慣を踏まえたうえでの家づくりをしています。施工後もアフターフォローやメンテナンスなどに細かく対応してくれる工務店が多いです。地元ならではの頼りがいのある存在といえます。また、コストが比較的割安傾向にあるということもあげられます。

1.3 住宅の種類

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住宅は大まかに3つの構造にわけられます。

・木造住宅
・鉄骨住宅(RC構造)
・鉄筋コンクリート住宅(SRC構造)

戸建住宅では、新築着工の80~90%、既存住宅では90%以上が木造住宅といわれています。
日本の戸建住宅のほとんどは木造住宅といってもいいでしょう。

それぞれの住宅構造にメリット・デメリットが存在しますが、今回は木造住宅について考えていきま
しょう。

1.4 木造住宅のメリット

木造住宅とは、構造体に木を使用した住宅のことです。木造住宅の魅力はたくさんありますが、費用・機能性・自由度といったメリットがあります。
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木造住宅は、鉄筋住宅(RC構造、SRC構造)に比べ、建築費用が安い傾向にあります。材料費が安く済むからです。使用する木材にこだわりすぎれば当然費用は高くなりますが、一般的に鉄筋住宅と比べた場合は費用を抑えられます。

空間設計(間取りなど)の自由度が高いのも木造住宅の大きなメリットです。新築時はもちろんリフォーム・リノベーションといった改修を行う際も、木造住宅のほうが高い自由度で増改築をすることができます。
また、鉄筋住宅に比べて施工できる工務店が圧倒的に多いため、施工業者を選ぶという意味でも自由度が高いといえるでしょう。

※木は鉄やコンクリートに比べ、熱伝導率が低い素材です。そのため冬は暖かく、夏は涼しくすごしやすいといわれています。鉄筋住宅には断熱材などの処置が必要不可欠ですが、木造住宅ではそのようなコストを省くことが可能です。
特に夏は熱がこもりにくいのが特徴です。

※健康的・精神的にもメリットがあります。木は吸湿性が高く、屋内の快適性はもとよりダニやカビの予防に繋がります。新建材を使った家では壁紙や合板は必須ですが、それには化学物質やホコリによるシックハウスやアレルギーといった健康上の不安が伴います。しかし無垢材を使った木造住宅はそれらを必要としないため、心配がありません。
また、木には温もりを感じることができます。年輪の間隔には人間の生体リズム(呼吸や心拍など)と同様の独特のリズムが存在します。このリズムが人の心に安らぎを与えてくれるといわれています。この様なことも大きなメリットといえるでしょう。

1.5 木造住宅のデメリット

木造住宅には鉄筋住宅と比べて不安な点もあります。
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木造住宅は、鉄筋住宅を比べて耐震性に劣るというイメージをもたれています。確かに木と鉄では、鉄のほうが丈夫だといえます。しかし、木造建築は地震大国日本で発展してきた工法です。木は鉄に比べて軽量であるため、地震力にはうまく対抗することができるのです。

耐久性という点については鉄筋住宅よりも劣るといわれています。木は自然素材です。風雨による劣化やシロアリ被害といった点については鉄筋住宅に比べて受けやすいですが、きちんと対策を取ることに十分長持ちさせることは可能です。

※木造住宅は、火事に弱いというイメージをもっている方がたくさんいますが、そんなことはありません。確かに木は燃えやすいです。しかし、木材の表面は燃えても内部まで燃えるには時間がかかり、強度が急におちるということはありません。そして新建材と比べると木材は火がついても有毒ガス発生しないため安全といえます。火災で亡くなった方の80パーセントが窒息死だそうです。

施工業者を選ぶという意味で自由度が高い木造住宅ですが、その反面、品質にもばらつきがあるといわれています。先に述べた不安・デメリットも、高い技術と倫理観を持つ工務店・施工業者であればかなり払拭できますが、経験の浅い職人・雑な工事を行う施工業者にあたると不安は増大します。工務店を選ぶ際は慎重になりましょう。

1.6 工務店選び

木造住宅に関して色々なことを述べてきましたが、では実際にどのようにして工務店を選べばよいのでしょうか。
まずは『見る・聴く』ということからはじめればよいでしょう。住宅雑誌やインターネットなどで調べた後は、見学会に積極的に参加し、話を聞いていく中で判断することが大切です。
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家づくりは時間がかかるものです。自分にあう工務店を見つけることが第一歩となります。
それ以外にも社会的な信頼性などがある工務店にお願いするのがよいでしょう。

また、『施工経験豊富な職人がいる工務店』というのも大切になってきます。大工という仕事は経験が大切だといわれています。職人の世界は『気転の効く賢さ』が求められるからです。これは現場での経験がものをいいます。
先に述べた木造建築のデメリット部分についても、技術はもちろん、気転を効かせることができるということが大切になってきます。また、いままでの経験を生かした提案力というものも生きてきます。

人間性・信頼性はもとよりですが、『施工経験豊富な職人がいる工務店』。こちらも工務店を選ぶ際に重きをおいて探してみるとよいでしょう。

2.湿度の多い日本。環境に適した施工が絶対に必要!

木造住宅に限らないのですが、みなさん窓の結露を心配されます。しかし、結露そのものよりも、本来は結露に起因するカビの発生が問題なのです。

2.1 日本の気候

日本には梅雨というものがあります。蒸し暑いという言葉自体も、まさに日本の気候の特徴を言い表しているかと思います。

カビは湿度が高いと劇的に繁殖をするのですが、それをさせないためには、いかに室内の湿度を未然に下げるかが重要です。2×4(ツーバイフォー)住宅などに代表される合板を使用した住宅では、強度、コスト重視で湿気という側面はあまり意識されていません。

もちろん誤解の無いように言いますが、「合板」という素材が「湿気」という側面から見たときにあまり適した素材ではないということで、2×4がよくないということではありません。もともと、2×4などの盛んなカナダの気候は「湿気」がそこまで高くないので、このような工法が適しているのです。

「合板」は薄く削りだした木材を接着剤で圧着したものです。
木材だからと言って通気性があるという誤解をされている人がいるのですが、大量の接着剤が使われていることを考えると、湿度の問題もそうですが、シックハウスなどほかの心配もありますよね。
今村様邸構造見学会12月10・11日 014
さて、話を「湿度」に戻しましょう。

一般的に住宅では「断熱性」と「気密性」ということを重要視します。
昔の日本家屋では軒先を長くとり、日が高い夏は室内に直射日光が当たらないようにし、日が低い冬は室内まで日を取り込めるような作りになっていました。

私の知り合いの昔ながらの住宅は、夏は冷房がなくても、ものすごく涼しいです。
「通気性」がすぐれているためですが、裏を返すと「断熱性」、「気密性」という側面から見ると問題があります。

昔はそれで問題なかったかもしれません。しかし、年々気温が上がっている現代の日本を考えたときに「断熱性」、「気密性」はやはり重要です。

2.2 「断熱性」と「気密性」

「断熱性」「気密性」を高めるには、同時に湿気に対する配慮が重要となります。
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壁体内など隠ぺい部に湿気を入り難くすることや、外壁や屋根裏・床下などの通気・換気など、湿気を排出する措置を施すことなどです。

また、気密性が高くなれば、換気計画も大切です。湿気問題一つをとっても、総合的な知識と経験、そしてきめ細やかな配慮が必要となります。家づくりを担う工務店により、大きな差が出てしまう部分です。ですから、工務店選びは、非常に重要なのです。

2.3 湿度の多い場所

家の中には、押入やキッチン・水回りなど、どうしても湿気が滞留しやすい箇所があります。
湿気の滞留は、カビの発生を助長してしまいます。
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湿気を滞留させないためには、まめに『換気』を行うことが大切となります。

そして、湿気問題で最も厄介なのが、壁体内結露などの隠ぺい部の結露です。
気づかないうちに、構造軸組まで腐食させてしまえば、構造耐力に影響を及ぼし、耐久性を損なうこととなってしまいます。

隠ぺい部の結露が起こり難い家づくりをして行かなければいけません。

家の中の換気がし易いよう、風通しの良い家にすることも重要です。
夏場の風通しは、湿気対策だけでなく、心地良さも演出してくれます。

しかし、その時の気候状況によっては、風通しも期待できないこともあります。
日本の夏場は、空調機に頼らなければ過ごせないような状況も増えてはいますが、風通しが良く調湿性能に優れた家づくりが、日本の気候に適しているのではないでしょうか。

2.4 湿度対策

伝統的な木造住宅は、自然素材を生かした造りです。無垢材、土、漆喰、紙など、調湿性に優れた材料です。
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木組みを表しにしているのも、大きな意味があります。構造軸組を隠ぺいしてしまえば、隠ぺい部の管理は難しくなります。表しになっているということは、調湿性も期待でき、耐久性にも貢献することとなります。

また、自然素材は、蓄熱性能が高いことも特徴的です。蓄熱性能の高さは、冷暖房時に、ふく射型の心地良さをもたらしてくれます。自然素材で造られた住空間の心地良さを味わっていただきたいです。

ぜひ、この日本の「蒸し暑い夏」、「寒い冬」を快適に過ごすための家づくりを妥協なく追及していきましょう。

3.「一部だけ補強することの危険性」

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住宅には常に荷重がかかっています。基本的には縦から力である鉛直荷重がかかります。しかしそれだけではありません。地震や台風などの自然災害では鉛直荷重に加え、横からの力である水平荷重がかかります。

鉛直荷重は柱や梁、基礎といった部分に荷重がかかります。では、水平荷重はどこにかかるのでしょうか。それは『壁』とです。木造建築では、鉛直荷重に抵抗する材と水平荷重に抵抗する材は別々です。住宅耐震では、鉛直荷重の対策だけでなく水平荷重への対策も重要になってきます。

3.1 鉛直荷重

鉛直荷重とは、上から下に流れる力のことです。次の3つが挙げられます。

・固定荷重
・積載荷重
・積雪荷重
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固定荷重は建物自身の重さによる力です。住宅を構造しているすべてのものに含まれています。すべての建築物にかかる力であり、建築物が存在する限り永久にかかり続けます。

積載荷重は可動物の重さによる力です。具体的には、家具や人といったものの重さを指します。固定荷重とは違い、常に変動する力になります。

積雪荷重はその名の通り、雪の重さによる力です。住宅を建てる地域により異なり、雪の少ない地域よりも多い地域のほうが大きくなります。雪の降らない地域では、住宅を建てる際に考慮されない場合もあります。

鉛直荷重は主に柱や梁、基礎、土台といった建築物の『軸』といえる部分にかかります。固定荷重や積載荷重は、長期的にかかる荷重です。長期荷重に耐えられなければ、住宅の形状が変形・倒壊していくことになります。

3.2 水平荷重

水平荷重とは、横から受ける力のことです。次の2つが挙げられます。

・地震荷重
・風荷重
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地震荷重は地震の揺れによる力です。建築物が重いほど荷重も大きくなります。日本は地震国家といえます。地震による力が住宅を建造する上で重要になってきます。

風荷重は主に強風による力です。住宅の表面積が大きいほど大きくなります。また住宅の形状によっても変化します。木造住宅では、地震荷重についで風による力が大きな影響を及ぼすといわれています。

水平荷重がかかるのは、屋根や床、壁といった『面』といわれる部分になります。鉛直荷重とは異なり、短期的な荷重です。しかし、少ない時間ながらも1度にかかる力はとても大きなものです。鉛直荷重と同じく、荷重に耐えられなければ住宅の形状変形・倒壊に繋がっていきます。

3.3 荷重に対して丈夫な構造

鉛直荷重・水平荷重それぞれに、荷重に対して丈夫な構造というものがあります。

今村様邸定点 子ども会 10月16日 243鉛直荷重は上から下に流れる力の通り、住宅の屋根、柱・梁、土台、基礎というように荷重が流れていきます。この力が流れる経路を短くし短時間で荷重を地面に流すことが鉛直荷重に対する丈夫な構造といえます。

水平荷重は主に壁にかかります。壁が丈夫であるか否かが大切になってきます。壁には、耐力壁と非耐力壁というものがあります。構造的に固定されていない壁を『非耐力壁』、水平荷重に抵抗する力をもつ壁を『耐力壁』といいます。
この耐力壁が、住宅の耐震性で重要な要素の1つになってきます。

3.4 耐力壁

耐力壁には、筋交いの入った壁や構造用合板などのボードを張った壁などがあります。
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耐力壁は、法律により所定の量を設置することが義務付けられています。
単純に考えると、住宅すべての壁を耐力壁にしてしまえばよいと思いますが、それは住宅の構造上不可能なのです。

3.5 耐力壁の量と配置

耐力壁の数は、家の強さに影響します。できるだけ多くの箇所に設置したいものです。
しかし、ただ多ければよいというわけではありません。
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また耐力壁を十分に設置しても、バランスよく設置しなければ地震などの際、住宅に変形やねじれが発生し倒壊に繋がります。住宅の外周に耐力壁があるとバランスがよいといわれています。一方、耐力壁が一部に集中しているとねじれが発生しやすく倒壊しやすい住宅といえます。

具体例として次のような例があります。

南側にリビングやバルコニーがある住宅は多いです。暖かい日が差すリビングが良いと思う人が多いからです。南側にリビングやバルコニーを集中させると、北側に玄関やキッチン、お風呂といったものが配置されています。このような配置だと、耐力壁が北側に集中している場合が多く。偏りのある配置になってしまいます。

耐力壁の配置が偏ってしまうと力が集中して弱い部分にかかってしまい、接合部分の破壊、

最悪の場合は倒壊につながります。数値より配置バランスが重要です。

棲みやすく快適な住宅を目指しすぎて、住宅の構造が弱くなってしまうということがないよう、構造と棲みやすさのバランスに気をつけて住宅を建てることが重要といえるでしょう。

4.木造住宅に多い瓦屋根。建物の重さに配慮した構造計画が重要です。

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自分の住んでいる住宅の『重さ』を考えたことがありますか。住宅の重さというものは耐震計画・耐震補強という観点で考えると、とても重要な要素なのです。

では、木造住宅はどれだけの重さをもっているのでしょうか。

建物の重さにはその建物自身の重さである固定荷重と、可動物の重さ(家具や人といった変動する重さ)である積載荷重があります。これらの重さは家の上から下へ、屋根から始まり柱をとおり基礎から地面へと流れていきます。

一戸建てを建てる土地の『地盤』が重要なことは一般的に知られています。しかし、地盤がしっかりしているから大丈夫というわけではないのです。先ほど述べたとおり、重さは上から下へ流れます。最終的に受け止める地面(地盤)の強度はもちろんですが、建物荷重を地盤に伝える柱や梁などの軸組の状態、そして使用する部材の重さに注目することも大切です。

4.1 地盤の強度

地盤といえば『土』です。土にも色々と種類があり、粒子の大きさで5つに分かれます。一番大きいものから『岩 → 砂礫(されき) → 砂 → シルト → 粘土』という順に粒子が小さくなっていきます。
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一般的に粒子が大きいほど土の強度も高くなり、小さいほど低くなります。また、粒子が小さければ小さいほど、土の中に水が入ったときに軟弱になります。

地盤の上に建物を載せた際、その地盤だけでは建物の重さを支えきれず建物が沈下する恐れのある地盤のことを『軟弱地盤』といいます。柔らかい粘土やシルトが多く含まれている地盤は軟弱地盤にあたります。住宅の建設予定地が軟弱地盤だった場合には、きちんとした地盤補強が必要になります。

4.2 地耐力

地耐力とは、それぞれの土が持っている強度を数値で表したものです。地盤の強さに直結するものといっても良いでしょう。
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では、地耐力がないとその土地に建てた住宅はどうなってしまうのでしょうか。

答えは『地盤が住宅の重さを支えられずに沈んでいく』です。そのようなことにならないためにも、土(地盤)の強さを知り、住宅を支えられるかどうかを知ることが大切になります。

また、『液状化』ということばを近年耳にするようになったと思います。液状化とは、埋立地などのような砂やシルトといった砂系の地盤で均一な地層におこりやすい現象です。このような地層が水を多く含んでいる状態で地震のような揺れを加えられると、土が液体のようになってしまうことをいいます。

しかし、液状化現象は頻繁におこるものではありません。地震の揺れといっても震度5以下の揺れでは影響がないといわれています。つまし、『地層・水・大きな地震』という条件がそろわなければ大丈夫ということです。気をつけるに越したことはありませんが、前述した地耐力ほど気をつける問題ではありません。ただし、海・川・沼などに沿った砂系の土壌の堆積地や埋立地では、液状化のリスクが高くなるため、細心の注意が必要です。

4.3 木の強度

世間では、耐震において木造住宅は弱いという認識が多いです。しかしそれは間違いです。木材、コンクリート、鉄骨の3種類で、上からの力(圧縮力)を比較した際、面白いことがわかります。
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10センチメートル角の柱で支えられる強さは木材が「約6トン」、コンクリートが「約7トン」、鉄骨が「約20トン」となります。鉄骨がとびぬけて強いということは分かりますが、実は木材とコンクリートにはあまり差がないのです。木材は意外と強いということがわかります。

4.4 木材の種類

木材は種類がとても豊富です。P1000181_1
そして木材の種類により強度や性質も変わってきます。

・カシ → 約9.0トン
・アカマツ、クロマツ、ベイマツ → 約7.5トン
・ヒノキ、ケヤキ、ヒバ、カラマツ → 約7.0トン
・ベニマツ、スギ → 約6.0トン

上記は木材の強度です。基本的には強度が高いほど木材の値段も上がる傾向にあります。しかし、木材は、強度だけで選ぶわけではありません。木材には種類ごとに性質がちがいます。湿気に強いものやシロアリに強いもの、腐朽性が強いものなどさまざまです。

木材の強度のみを見るのではなく、自分の住宅にあった木材選びが大切です。

4.5 瓦屋根

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屋根は、地盤面から最も離れた位置にあるため、地震力の影響が非常に大きくなる部分です。思い屋根になれば、その分大きな地震力が伝わってしまいます。昔の古い日本家屋は、土を載せて瓦を葺いていたため、非常に重い屋根となっていました。俗に言う「土葺き瓦」という屋根です。古い土葺き瓦の家は、屋根の重さから、地震力が大きくなり、また、建物が古く軸組が腐食している例が重なる傾向があり、それが、倒壊の被害を大きくしてしまいました。逆に、重い土葺きを降ろし、乾式の瓦に葺き替えるだけでもかなりの耐震性アップとなります。また、腐食軸組は取替えを行うことも重要です。

古い家屋であっても、同じ構造の住宅で、1棟は柱や壁を耐震補強し、1棟はそのまま阪神淡路大震災で実測された震度で実験を行った結果、耐震補強済みの住宅は倒壊しなかったそうです。この結果をみでも、屋根の重さが軽くなくても耐震補強をしっかりしていれば問題ないことが分かります。

耐力壁の必要量は、屋根を含めた建物の重さによって、建築基準法で決められています。建物の重さに即した耐力壁の設置を行えば、問題はありません。最近の瓦の主流は、土を使わない引っ掛け桟工法という、乾式の瓦葺きです。瓦葺き全体の重さも軽減されています。構造計画がしっかりとできていれば瓦屋根の使用は問題ありません。

5.工務店と仲良くなろう。プロの意見は尊重し、無理な間取り変更はしないように。

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マイホームを建てるのは皆さんにとって大きな夢の1つだと思います。とても大きな買い物です。一度建てれば手放すことはそうありません。それだけに、自分の思い描いた家づくりをしたいと思う方が多いです。住宅の外見はもちろん、間取りにこだわる方も多いでしょう。

しかし、この「間取り」。住宅の耐震性にとても深く関係しています。

5.1 凹凸のない間取り

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自分で考えた間取りを工務店などプロに相談する際、最初に制限を受けるのが住宅の強度、つまり耐震です。地震で住宅が揺れた場合、壁や柱が揺れを吸収する役割を果たします。その際、壁はできるだけ1枚の壁である(繋がっている)ほうがより耐震性が高くなります。

住宅に凹凸があれば、壁の耐震効果は凹凸の角の部分で切られてしまいます。つまり、デザイン性にはかけますが、四角い住宅が一番地震に強い構造であるといえます。もちろん、しっかりとした耐震対策をすれば、正方形の住宅でなくても耐震性の高い住宅を建てることは可能です。

5.2 筋交いの入った壁が多い

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「窓を大きく、日当たりを良く」という希望が多くあります。しかし、窓を大きくするということは地震の揺れに対する壁の強度を落とすことに繋がります。壁の内部には、筋交いという対角線のようになった斜めの柱があり、柱の揺れを押さえる役割をしています。このような筋交いの入った壁などの耐震性の高い壁のことを耐力壁といいます。

多いほうが良いといわれる耐力壁ですが、バランスよく配置することが大切です。大きな窓の設置や日当たりのために多くの窓を設置する際は、耐力壁が一部に偏り勝ちになります。そのようなことがないよう、しっかりとバランスを考えて間取りを考えましょう。

5.3 壁のバランス

住宅には大きく分けて2つの壁があります。外壁と内壁です。耐震性という面では外壁をしっかり造ることのみ考えがちですが、それではいけません。住宅内部の壁にも、地震の揺れを小さくする役割があるのです。
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部屋と部屋を仕切る壁にも耐力壁が使われており、柱が前後左右に振られることを防ぎます。部屋の横揺れはどの方向からくるかわかりません。外壁の強度はもちろん、内壁の強度、また住宅内部の壁がその面積が東西南北に均等になるよう配置すると、耐震性の優れた住宅となるでしょう。

5.4 大空間は弱い

最近の住宅の傾向をみていると、広いリビング・吹き抜けといった間取りを希望される方が増えています。
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前述した通り、耐震性を高めるには、柱や耐力壁の数が関係します。12畳以上の広い部屋や続き間をとると、柱や耐力壁の量が少なくなります。また、吹き抜けなども耐力壁が少なくなります。つまり、耐震性が低くなるのです。

一概に広いリビング・吹き抜けといった間取りは耐震性が低いということはありませんが、注意するにこしたことはありません。

5.5 柱のバランス

壁はもちろんですが、柱も住宅を支える大切なものの1つです。住宅の外周および内部の要所で、各柱にかかる荷重がなるべく均等になるようにバランスよく柱を配置すると耐震性が高くなります。
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また、2階以上の住宅では通し柱を配置すると良いといわれています。通し柱とは、1階と2階を同じ柱によって繋ぐことです。これによって、地震の横揺れの際に1階と2階の柱が逆方向に揺れてしまうといったことを防ぐことができ、耐震性の向上に繋がります。

5.6 間取りの優先順位

IMG_8262耐震性を考え住宅の間取りを考えるのは大変です。すべてが思い通りの住宅を造るのは至難の業です。そのため、優先順位をつけて間取りを考えることが大切になります。

広いリビング・寝室、書斎や子供部屋などさまざまな希望の中で、優先順位を考えていきます。すべてを実現することは難しく、何かを諦めることも必要になります。「これだけは絶対に実現したい!」というこだわりをしっかりと見極め優先順位をつけることにより、自分の目的とする間取り・家づくりがはっきりすることが多々あります。

5.7 工務店と仲良くなろう

理想のマイホームをつくるには、工務店との関係が重要になってきます。家づくりの重要なことの1つに工務店選びがあります。工務店といっても色々なタイプの工務店があります。
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工務店を決めるには、実際に話を聞きに事務所や展示会に参加する、ネット等で情報を調べることからはじめます。話をしていく中で、自分たちにあう家づくりをしている工務店をみつけていきます。

自分たちの理想・実現したいことの相談をしていくなかで、工務店からのアドバイスがでてくると思います。事前に調べていても、プロにしか分からないことがたくさんあります。

工務店側も人です。人と人のつき合いには信頼関係が大切です。いろいろなやり取りをしていく中で、工務店との信頼関係を築きましょう。満足のいくマイホームづくりが実現できるはずです。

6.まとめ

昔ながらの木造住宅を建てられる工務店は、高齢化に伴い減ってきています。しかし、その高齢化した方々が住みたいと思うのはやはりそういった木造住宅ではないでしょうか。

もちろん、昨今の洋風住宅もすばらしいものはたくさんあります。しかし、そういった洋風住宅のいいところの要素を取り入れた昔ながらの木造住宅があったらいかがでしょうか。

きっと、同居される場合などで、リフォームを検討されているのであれば、ご両親の喜ぶ姿が目に浮かぶのでは無いでしょうか。

棟梁笑顔写真-014_1皆様に喜んでいただける木造住宅を建てるためには、今回ご紹介した記事以外にも数多くの知識が必要です。儀賀住研ではそういったことをわかりやすく説明し、皆様に心から満足の行く家造りを行っています。

新築・リフォームで不明点がありましたら、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。